FXトレーダーにとって、利益をコンスタントに上げるためには、取引の成功と失敗を記録して追跡することが不可欠です。しかし、しばしば見落とされがちなのが、**「取引しなかったトレード」**の影響です。
多くのトレーダーは、良いトレード機会を逃してしまうことに慣れているでしょう。自分のバイアスや戦略にぴったりのセットアップを目にしていながら、結局取引を行わなかった経験があるはずです。しかも、そういう見逃したトレードが利益をもたらすことが多いのです。
見逃しの理由は様々です。たとえば、スティーブは数回の損失の後、次のチャンスに消極的になっていたかもしれません。トニーは別のトレードに気を取られていたり、ピーターは友人の意見と自分のバイアスが一致しないために自信を持てなかったりしたかもしれません。ナターシャは1日のノルマを達成してトレードを終了し、クリントは次のトレードを行うための資金が足りなかったのかもしれません。
理由があってトレードを見送ることは時には正当化されますが、有効なセットアップを見逃すことは、長期的には大きな損失につながる可能性があります。
見逃しトレードの影響とは？
まず、良いセットアップを取らないことは、知らず知らずのうちにアカウントにダメージを与えてしまうことになります。機会損失が積み重なると、どれだけの利益を逃していたのか見当がつかないでしょう。これを記録していない限り、実感することもありません。
また、システムトレーダーにとって、全ての有効なトレードを実行しないと、バックテストの結果と実際のパフォーマンスに食い違いが生じます。システムに自信を持つ前に、その本来の可能性を試し切ることなく放棄してしまうかもしれません。
さらに、見逃したトレードはトレーディング心理にも悪影響を与える可能性があります。例えば、損失が続くと「もうトレードしなくてもいい」と考えがちですが、これは直近の結果に引きずられる「直近効果」の罠に陥っている証拠です。損失はトレードの一部であり、過去のトレード結果が次の意思決定に影響を与えてはいけません。
最後に、見逃しトレードがもたらす最も危険な影響は、「復讐トレード」への誘惑です。良い機会を逃したトレーダーは、それを取り戻そうと、質の低いセットアップで無理なトレードを行いがちです。そして、より積極的にトレードを行うことで、さらに口座の資金を減らしてしまうこともあります。以前に述べたように、復讐トレードは少しずつ、確実にアカウントを破壊してしまうのです。
見逃しトレードを最小限にする4つの方法
では、どうすれば見逃しトレードを減らせるのでしょうか？ここではそのための4つの方法を紹介します。
1. トレード日誌を活用する
問題を把握しなければ、それを解決することはできません。なぜためらったのか？注意が散漫になっていたのか？ペアがシステム通りに動いた回数は？どうすれば同じチャンスを逃さずに済んだのか？
見逃したトレードをトレード日誌に記録することで、何がトリガーになっているのかを明確にし、今後は計画に従うための助けになります。
2. アラートや注文を設定する
チャートを常に見ている時間がなかったり、良い機会が発生するタイミングに不在である場合は、価格アラートやエントリー注文を設定することを検討してください。プラットフォーム上でシンプルな自動システムを構築することで、さらに効率的にトレードを行えるでしょう。
3. ポジションサイズを減らす
自信がなく、良いトレードアイデアを逃してしまう場合は、ポジションサイズを減らすことを検討してみてください。これにより、資金を失うリスクのプレッシャーが軽減され、より冷静にトレードに臨むことができるはずです。
もちろん、リスク管理の技術をしっかりと実践することで、自信を大きく高めることもできます。
4. 大局を見据える
負けることもトレードの一部であることを受け入れることが重要です。1回や2回の損失は、システムを信頼し、大局を見据えている限り、最終的な結果に大きな影響を与えることはありません。
損失に慣れることで、利益よりもプロセスに集中できるようになるのです。
多くのトレーダーは、見逃したトレードの影響に気づいていません。損失したトレードはスプレッドシートに記録されますが、見逃したトレードは通常、記録されません。しかし、見えない問題に対処することはできません。見逃したトレードを記録し、その原因を突き止めることで、今後のパフォーマンスを改善するチャンスが生まれます。
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